広大地は最強


2017/11/13

広大地は最強

広大地は最強


こんにちは。津田沼で開業している税理士の山田卓生です。 

国税庁のホームページに、財産評価基本通達の改正に伴い新設された「地籍規模の大きな宅地の評価」について情報がアップされました。

この評価方法は、平成30年1月1日以降の相続や贈与により取得した土地について適用されます。

その一方で、土地評価をする上で、最強の減額要因を誇っていた「広大地の評価」が廃止されます。

 

→「地積規模の大きな宅地の評価が新設されました」は、こちら

→「地積規模の大きな宅地の評価」の適用要件チェックシートは、こちら

 

広大地は最大65%評価減


 
広大地は、最大で65%評価が下がるという最強の減額要因でした。
 
 
家を建てることが許されず、そして、売りたくても売れないであろう無道路地でさえ、最大で40%しか評価額が下がりません。

 

それに対して、広大地は、最大で65%評価額が下げられます。65%もです。

 

広大地は、もちろん家を建てることができます。

 

戸建分譲地として売ることもできます。

 

無道路地よりもはるかに利用価値があり、はるかに売却も容易な広大地の方が、評価額を大きく下げられたのです。

 

算式はシンプルですが・・・


広大地は、評価減のインパクトが大きい代わりに、その適用を誤ると非常に大きな痛手をこうむることになります。

 

広大地の評価算式は、

 

「評価額=路線価×広大地補正率×地籍」、と算式自体はとてもシンプルです。

 

間口距離、奥行距離、土地の形状すら考慮する必要が一切ないのです。

 

広大地は、三大都市圏であれば地籍が500㎡以上、それ以外の地域であれば1,000㎡以上が基準とされます。

 

そして、評価しようとする土地が、その地域における標準的な宅地の地籍と比べて著しく大きいのか、どのような使い方をするのが最有効利用なのか、マンション用地がよいのか、戸建分譲用地がよいのか等、いろいろなことを検討しなければなりません。

(特にマンションや戸建住宅が立ち並んでいる地域においては、この判断が難しい)

 

計算方法は至って簡単ですが、そもそも「広大地」に該当するのかしないのかという判断については、専門家である私たちも頭を悩ませることは、珍しくありません。

 

国税不服審判所の裁決事例でも、広大地の評価減の適用可否を巡り、納税者側と課税庁が争っているケースを見受けます。

 

広大地適用が否認されると、途端に相続税の負担が跳ね上がります。

 

過少申告加算税や延滞税といったペナルティーも課されます。

 

納税者からして見れば、税務調査で広大地の適用をひっくり返されてしまったら、税理士に対する信用も大きく失墜するのは言うまでもありません。

 

私も、広大地の適用可否の判断をするにあたっては、評価をしようとする土地の課税時期の住宅地図と10年以上前の住宅地図を見比べたり、周辺の土地開発状況確認のため市役所へ開発登録簿の閲覧に足を運んだり、市区町村に備えられている開発要綱を入手し読み込んだり、この他にもいろいろなことを確認し、実に多くの時間を費やして慎重に判断しています。

 

判断は簡単になりましたが・・・


この改正により、広大地評価に代わる「地籍規模の大きな宅地」の適用要件が明確にされたことはいいことですが、いいことばかりではありません。

 

従来の広大地評価と比べると評価額に与える影響は甚大です。

 

国税庁の「地積規模の大きな宅地の評価が新設されました」に記載されている土地の計算例では、新しい評価方法に基づく評価額は、1億3,509万円となっています。

 

→「地積規模の大きな宅地の評価が新設されました」は、こちら

 

この計算例について、改正前の広大地の評価方法(広大地に該当する条件はクリアしているものとします)により評価してみると・・・

 

(計算式)

30万円×(0.6-0.05×600㎡/1,000㎡)×600㎡=1億260万円

 

なんと1億260万円となり、その評価差額は、3,249万円にもなります。
 
 
同じ土地なのに、従前の広大地評価だと1億260万円、新設された地籍規模の大きな宅地評価だと1億3,509万円、この改正の影響が、いかに大きいことか・・・。

 

このような改正を前に、資産家の方や将来の相続について心配している方は、お付き合いしている税理士から、平成29年中の土地贈与について検討や何かアドバイスはしてもらえていますか。

 

平成30年の元日まで、もう少しです。

 

広大地に該当すると思われる土地をお持ちの方は、注意してください。




ブログトップに戻る

TOPページに戻る