2018/8/16
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相続人からの自社株買い取りについて(その3) |
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相続人からの自社株買取について(その3) こんにちは、開業して2年目に入った税理士の山田卓生です。
暑い日が続いていますね。先月、私が所属している税理士会の野球同好会(といってもソフトボールしかやりません)の練習試合に参加しました。
練習試合は、真昼間に行われましたが、あまりの暑さでグランドに立っているだけでも、大変でした。1試合しかやりませんでしたが、疲れ切ってしまいました。情けない話です。
テレビをつければ、酷暑の中、白球を追いかけている高校球児の姿が飛び込んできますが、これには脱帽です。 今年の高校野球は、記念すべき「第100回大会」ということですが、果たして、どの高校が優勝するのでしょうか。今まで練習してきた成果を存分に発揮してもらいたいと思います。 自社株取得の財源規制。300万円の壁?! 前回まで、自社株の買い取り方法が2つあること、相続人に対する売渡請求において、買取価格の協議が整わなかった場合について、触れてきました。 今回は、自社株取得の最後の注意点になりますが、財源規制について触れてみたいと思います。 相続人から自社株を「合意により取得」する場合でも「強制的に取得」する場合でも自社株取得の財源規制があります。(会社法461条)
財源規制とは、分配可能額を指します。分配可能額を超えて,自社株取得は認められません。
会社法で、分配可能額の計算方法が規定されていますが、おおよそ貸借対照表の純資産の部の剰余金の額(その他の資本剰余金+その他の利益剰余金)から自己株式の帳簿価額を控除した金額となります。
ただし、資本金の金額によらず、純資産額が300万円未満の場合には、剰余金がある場合であっても買い取りを行うことはできませんので注意してください(会社法458条)。
(例) 分配可能額の計算 (単位:円) Ⅰ.資本金 【10,000,000】
Ⅱ.資本剰余金 【2,000,000】 資本準備金 500,000 その他の資本剰余金 1,500,000
Ⅲ.利益剰余金 【10,000,000】 利益準備金 150,000 その他の利益剰余金 任意積立金 3,000,000 繰越利益剰余金 6,850,000
Ⅳ.自己株式 【△,500,000】
純資産の部 21,500,000
上記の例だと、自社株の買取可能範囲の金額としては、次のようになります。
1,500,000円+3,000,000円+6,850,000円-500,000円=10,850,000円
おわりに
相続人との買取価格の折り合いがついたとしても、会社の財務状況によっては、上記の理由から自社株の買い取りができない場合があるということになります。
相続人からの自社株の買い取りについて、「取得」、「価格」、「財源規制」と3回に分けて見てきました。
自社株については、評価方法、事業承継、種類株式の活用など実に様々なテーマがあります。
私も、今月29日に、「経営者に知ってほしい事業承継税制」というセミナーの講師を務めさせていただきます。
これも自社株に絡むものですが、参加していただく経営者の方に、すこしでもわかりやすく説明できるように、しっかりと準備を進めていきたいと思います。
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